2006 Fiscal Year Annual Research Report
自己集合性中空錯体を用いたスピン系の設計および外部刺激による制御
Project/Area Number |
06J10518
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中林 耕二 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 自己集合 / スピン / 有機ラジカル / ESR / ホスト-ゲスト |
Research Abstract |
自己集合性中空錯体の内部空間を活用した有機ラジカル分子の配列制御とそれに基づく新奇なスピン系の構築、さらには外部刺激によるスピン状態の制御による新たなスピン材料の創出を目的とし、次の結果を得た。(1)安定ラジカル部位を有するパネル状配位子を新規合成し、ゲスト取り込み可能な正八面体型中空スピン性錯体を合成した。(2)さらに自己集合性かご状錯体の特異な電子受容性を利用し、電子供与性ゲスト共存下で光誘起電子移動反応を介し、かご状錯体の一電子還元体が生成することを明らかにした。 (1)ゲストと直接相互作用できるように内部空間にラジカル部位が露出したホスト化合物は新奇スピン材料素子として興味深いが、報告例はない。そこで、独自に開拓した方法により合成した三角パネル状の安定ラジカル配位子と金属からかご状スピン錯体を構築した。構造はCSI-MSおよびX線結晶構造解析から同定した。またESR測定より、錯体自身および安定ラジカルを内包した錯体においてスピン間相互作用が観測された(論文投稿準備中、特許申請中)。 (2)光による電子(スピン)の制御は、磁性材料だけでなく反応設計においても重要な課題である。かご状錯体の電気化学測定により1電子酸化還元波が極端な低電位で観測され、かご状錯体の高い電子受容性が支持された。一方、電子供与性ゲストを取り込んだ包接錯体を合成し、粉末状態、110 Kで光照射すると、近赤外領域付近に幅広い吸収が観測された。この吸収は錯体の一電子還元体であることが定電位電解UVスペクトルとの対応から明らかにした。 以上、安定ラジカル分子の配列を制御することによる新奇スピン性化合物の構築と自己集合性かご状錯体が有する興味深い性質を解明した。
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Research Products
(1 results)