2007 Fiscal Year Annual Research Report
無細胞翻訳系を用いたオキサゾール骨格含有化合物ライブラリーの構築
Project/Area Number |
06J10526
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 佑樹 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ペプチド / 異常アミノ酸 / 翻訳合成 / リボソーム / 特殊ペプチド |
Research Abstract |
生体内で生理活性を発揮するペプチドの多くは、大環状構造や脱水アミノ酸などを分子内に持つ、特殊骨格含有ペプチドに分類される。これら特殊骨格含有ペプチドは医薬品開発のモチーフとして期待ができるが、翻訳合成系では一般に合成することができない。しかし、無細胞翻訳系を用いて生理活性ペプチド候補化合物を容易に合成することができれば、創薬シーズとして翻訳系による高多様性ライブラリーを薬剤探索に利用する道が開けると期待される。今年度は、天然のタンパク質合成系である翻訳合成系と自発的骨格変換反応とを組み合わせることで、特殊骨格含有ペプチドを簡便に合成することに成功した新手法を開発した。 具体的には、クロロアセトアミド基を持つアミノ酸をペプチドに翻訳導入し、システインのスルフヒドリル基の求核攻撃によって、翻訳産物として生理的条件下で安定な大環状ペプチドを得る手法を開発した。クロロアセトアミド基は翻訳反応溶液中で十分に安定に存在するが、分子内にシステイン残基がある場合のみ、分子内選択的な求核置換反応が進行し、自発的に大環状骨格を形成する。この技術は翻訳合成を利用したペプチドライブラリーの構築法と容易に組み合わせることができ、簡便な環状ペプチドライブラリー構築法に応用可能であり、本手法を用いた新規生理活性ペプチドの探索を今後行っていく予定である。 また、ビニルグリシンを翻訳合成に組み込み、翻訳反応系中で脱水アミノ酸であるデヒドロブチリンへと自発的異性化させる手法も併せて開発した。脱水アミノ酸はその不安定性から、直接ペプチドに導入することが出来ないが、ビニルグリシンを経て自発的異性化反応を進行させることで翻訳産物に組み込むことができた。実際に本技術を利用し、抗菌ペプチドとしてしられているナイシンの部分構造を翻訳合成することに成功しており、今後の生理活性ペプチドの翻訳合成への応用が期待される。
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Research Products
(15 results)