2007 Fiscal Year Annual Research Report
土壌水分特性を用いたアジアモンスーン域における豪雨の季節予報
Project/Area Number |
06J10572
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 朋人 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 大気大循環モデル(GCM) / 予測可能性 / 季節予報 / 大気陸面相互作用 / 大気陸面結合強度 / Similarity Index / GLACE2 |
Research Abstract |
平成19年度は研究目的のひとつである現実的な土壌水分データによる降水量の再現性について大気大循環モデル(GCM)を用い研究を行った。具体的には、著者らが作成した現実的な土壌水分データを高解像度(約50km格子)のGCMに用いることにより、アフリカモンスーン域の雨季の開始時期並びに雨季の降水量の再現性が向上することが初めて示された。一方、中国から日本にかけての東アジアモンスーン域では6月の大気諸量の変動はチベットの陸面情報の高精度化によって改善されるという結果が得られた。降水変動に対しては明瞭な影響が見られなかったが、それはアンサンブル数(サンプル数)を今後増加することで更なる議論が行えるものと考えられる。また以上の結果をまとめ、論文の投稿を行った。 長期滞在した米国NASA Goddard Space Flight Centerにおいて、本研究課題である土壌水分特性を用いた季節予報実験(2nd phase of Global Land-Atmosphere Coupling Experiment 2)の準備を行った。この実験には世界で約10大学・研究機関がそれぞれのGCMを用いて参加し、過去50年間の季節予報の再現実験を行い、土壌水分の初期値化による予報精度の影響を分析・検討するものである。著者は日本学術振興会特別研究員として季節スケールにおける土壌水分の役割について研究を行ってきた経験により、同研究プロジェクトを遂行する上で中心的な役割を担うこととなった。単一のモデルによる研究は得られた結果の物理的なメカニズムを解明する上で重要である一方、使用したモデルの特性による影響が否めない。現在進めつつある研究では世界の複数のモデルによる結果を得られることから、より定性的に信頼性の高い議論を行うことが出来るであろう。また結果の物理的な説明には、著者がこれまで行ってきた分析方法や研究成果が有用な手法かつ材料となることが期待される。
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Research Products
(5 results)