2006 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジア歴史都市サマルカンドにおける都市・建築の近代化の過程分析と意義考察
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06J10583
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鳳 英里子 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 中央アジア / ウズベキスタン共和国 / タシケント / サマルカンド / ソビエト期 / 近代都市計画 / ソ連邦期集合住宅 / パネル式多層階集合住宅 |
Research Abstract |
平成18年度はウズベキスタン共和国にて以下3期に亘り現地調査、アーカイブ調査を行った。 第一期:平成18年4月12日-5月10日(タシケント、サマルカンド)タシケント街区調査(旧市街部分、ソ連邦期の建設街区を年代順に分類し、各街区計画の特徴と現状を把握)、大型建造物(1920-1980年代)の建築調査(名称、建設年代、建築家、現状視察をノートに記入、外観・内観の写真撮影)、パネル式多層階集合住宅調査(外壁の壁面装飾に着目、住所および立地、壁面パネルの写真撮影による収集と分類)をNabi Utarvekov氏(学術専門出版社Media Land, Tashkent)と共同で行う。成果は2006年度の建築学会大会で「タシケントの多層階集合住宅における壁面装飾の役割」と題して発表した。 第二期:平成18年8月10日-8月25日(タシケント)ウズベキスタン文化省歴史建造物保護管理局アーカイブにて資料調査(建築関連文献の把握、建築史家V.ニルセン、V.ヴァローニナ、B.デニケ、L,レンペルの著作を中心に、ソ連邦期に建設された文化宮殿、劇場等の大型建造物および集合住宅の平面・立面等、計画図面の収集、建築雑誌「ウズベキスタンの都市建設と建築」内に掲載された建設活動紹介と論評を中心に)。ソ連邦期の建築関連組織;都市建設公団、住宅設計公団、都市計画局、修復計画局で建設活動を行っていた人々へのインタビューを、ウズベキスタン芸術科学研究所のAbdumannop Ziyaev教授の協力で行う。1930年代から建設され、現存する集合住宅の建築調査(年代、建築家、住所を記録、現状視察、改築の有無等をノートに記入、外観の写真撮影)を芸術科学研究所の大学院生2名と共同して行い、約40件を収集。 第三期:平成19年2月21日-3月20日(タシケント、サマルカンド、コーカンド)ウズベキスタン国立アリシェール・ナヴァイー図書館にてタシケント、サマルカンドのロシア帝政期からの都市建設、建築に関する文献収集、ソ連邦期の初期に活躍した建築家S.ポルパノブ、M.ブラトフが建設した作例の調査と彼らの活動に関する資料収集、特に1930年代に建設されたドム・コムーナ(現存せず)と1939年にモスクワの全ソ連農業展示館に出展された「ウズベキスタン・トルクメニスタン館」の図面と写真等の資料収集を行う。また伝統技術を受け継ぐ代表的職人、シリーン・ムラドブの建設活動の把握と、ウズベキスタンの伝統建築に関わる職人技術の研究書や現存する例の収集(ノート作成、写真記録)を行った。また1960年代後半から大量に建設されたパネル式多層階住宅の壁面装飾を担当し、住宅建設コンビナートで70例以上の作例を手がけた建築家Nikolai Djarskii氏にインタビューを行い、図案の作成方法や下書き、建設当初の記録写真、図面、タイルの資料を収集した。またサマルカンドとコーカンドにおいてソ連邦期の街区調査(街区計画の特徴と現状を把握)、大型建造物(1920-1980年代)の建築調査(名称、建設年代、建築家、現状視察をノートに記入、外観・内観の写真撮影)、パネル式多層階集合住宅調査(外壁の壁面装飾に着目、住所および立地、壁面パネルの写真撮影による収集と分類)をNabi Utarvekov(Media Land)氏と共同で行う。アーカイブや図書館で収集した文献、建設関連資料はほぼ全てロシア語であり、十分な読解に時間を必要とするが、現地調査成果と合わせ「ソビエト・ウズベキスタン建築の表層に現れた地域性の展開:集合住宅をケース・スタディとして」と題し日本建築学会計画系論文集に投稿を行う(2007年4月)。
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Research Products
(1 results)