2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトにおける運動処理過程を基盤とした時空間知覚の相互変換性の可能性の解明.
Project/Area Number |
06J10668
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中嶋 豊 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 知覚心理学 / 視覚 / 運動統合 / 運動残効 |
Research Abstract |
本研究における研究課題は,既存の枠に捕われないマクロな視点から捉えた運動知覚現象の解明,また,運動情報処理とは不可分な関係にある空間処理,時間処理の様相,そして運動知覚,空間知覚そして時間知覚との相互関係を探ることによってヒトの知覚現象の解明を目指すことである.本年度は運動知覚と空間的処理,時間的処理の関係を検討するに当たり,運動統合に注目し研究を行ってきた.具体的には時空間的には離散的,局所的な情報を持つが,全体として一つの大域的な知覚を生じさせる擬似ブラッド刺激とそれに類する刺激を用い,空間的特性,時間的特性を操作することにより,運動統合における諸特性に関して検討を行った.運動残効を用いた検討では,局所的運動の空間特性は大域的運動の空間特性以上に知覚を決定する強い要因であることがわかった.空間周波数と時間周波数を独立に操作し,局所運動の移動距離との関係から運動統合知覚に対する検討を行った実験では,運動統合が生じやすいある種の最適な時空間窓が存在する可能性を示唆する結果を得た.また,一般的な擬似ブラッド刺激を複数個配列し,局所運動刺激の数が多い刺激を用い,運動の規則性(運動パタン)と空間的範囲が運動統合知覚に及ぼす影響に関して検討を行った.その結果,運動配列の規則性が運動統合知覚を促進することがわかった.また他の研究で示されていた運動統合の範囲以上の広範な空間的範囲においても,運動統合が生じ,これは局所一大域の結合の間においても副次的に運動を統合する機構が存在する可能性を示唆する結果であった.
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] A Self-range Defined by Gaze Perception Affected by Characteristics of Personality.[Abstract]2006
Author(s)
Isogaya, Y., Maruya, K., Nakajima, Y., Tani, Y, Sato, T.
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Journal Title
Journal of Vision 6・6
Pages: 281,281a