2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトにおける運動処理過程を基盤とした時空間知覚の相互変換性の可能性の解明
Project/Area Number |
06J10668
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中嶋 豊 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 知覚心理学 / 視覚 / 運動統合 |
Research Abstract |
本研究における研究課題は,既存の枠に捕われないマクロな視点から捉えた運動知覚現象の解明,また,運動情報処理とは不可分な関係にある空間処理,時間処理の様相,そして運動知覚,空間知覚そして時間知覚との相互関係を探ることによってヒトの知覚現象の解明を目指すことである.本年度は運動統合知覚に関する局所的処理,大域的処理の関与,時間的情報である運動信号と空間的情報である輝度信号が物体の位置の知覚に与える影響に関して検討を行った. 運動統合処理の後に知覚される大域的運動に対する運動残効は大域的/局所的運動の各段階の順応により生じると考えられる.これまでの他の研究においては,それぞれの順応段階の影響は示されてきたものの,両者の関係性については不明瞭であった.そのため各順応段階間の関係性について検討を行った結果,大域的運動残効は局所運動順応強度に依存する傾向が見られた.一方,大域的順応強度は局所運動残効へ影響を及ぼさないことがわかった.この結果は,運動統合処理が常にトップダウン的な処理であることを示し,局所運動順応からの出力を再統合することで大域的運動残効として知覚している可能性を示した. また,時間的な運動信号が空間的な位置知覚に与える影響を示す研究は多く示されている.Matin, et. al.(1976)では輝度信号強度の影響,De Valois & De Valois(1991)では運動速度の影響が示唆されていたため,運動信号と輝度信号のインタラクションを検討した.その結果,速度とコントラスト強度の勾配が一致する場合に傾きが知覚される割合が増加し,勾配が不一致の場合に減少することがわかった.この結果より速度とコントラストの情報が知覚的位置ずれに対し加算的に働く可能性を示した.
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Research Products
(3 results)