2006 Fiscal Year Annual Research Report
オフターゲット効果が低く標的遺伝子に特異的なsiRNA設計法の確立
Project/Area Number |
06J10678
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内藤 雄樹 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | RNA干渉(RNAi) / siRNA / オフターゲット効果 |
Research Abstract |
哺乳類細胞でRNAi実験を行うには,標的遺伝子と相同な21塩基の短い2本鎖RNA(siRNA)またはsiRNAを発現するベクターを細胞に導入する方法が一般的に用いられる.このとき,導入したsiRNAが本来の標的とは別の遺伝子の相同部分を認識し,その遺伝子を抑制してしまう現象を,siRNAのオフターゲット効果と呼ぶ.本研究では,siRNA配列とmRNA配列との間にどの程度の相同性があるとオフターゲット効果が生じるかを検討するため,まず任意の標的配列に対して特定のsiRNAが示す標的切断活性を評価するアッセイ系(標的切断アッセイ)を構築した.その概略は,siRNAの標的となる短い配列を組み込んだ発現ベクターとsiRNAとを同時に培養細胞に導入して,ベクターから発現する標的mRNAがsiRNAによって切断される効率を,リアルタイムRT-PCRで定量するというものである.本アッセイ系を用いて,siRNA配列に対して様々なミスマッチをもつ標的mRNAを発現するコンストラクトを系統的に構築した.標的配列に1塩基のミスマッチを導入した場合,多くの例でsiRNAによる切断活性は残ったが,特に標的配列の中央付近のミスマッチにより切断活性が失われる傾向があった.しかし切断活性が失われるような置換の正確な位置または塩基の種類について規則性は見いだせなかった.標的配列に2塩基のミスマッチを導入した場合,中央付近の連続するミスマッチにより切断活性がほぼ失われたが,末端付近のミスマッチにおいては切断活性が残る場合があるなど,ミスマッチの位置や種類によってその影響は異なった.標的配列に3塩基のミスマッチを導入した場合,切断活性はほぼ失われた.以上の結果を考慮すると,siRNA設計においては,標的と無関係なすべての遺伝子に対してかならず3塩基以上がミスマッチする配列を選択することが望ましいと考えられた.
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Research Products
(3 results)