2006 Fiscal Year Annual Research Report
トランジット惑星系の観測をもとにしたホットジュピターの大気構造と形成過程の解明
Project/Area Number |
06J10690
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
成田 憲保 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 太陽系外惑星 / トランジット / すばる望遠鏡 / 分光観測 / 測光観測 / ロシター効果 / 惑星形成 |
Research Abstract |
申請者の研究は、太陽系外に発見されている多様な惑星たちがどのように形成され、どのような環境にあるのかを、観測を通して明らかにしようとするものである。そこで、申請者は惑星による「食」(トランジット)が確認されているトランジット惑星系の分光・測光観測を立案し、PI(Principal Investigator)としてすばる望遠鏡へ観測提案を行っている。 本年度、申請者は1晩のすばる望遠鏡の観測時間を獲得し、暗いトランジット惑星系TrES-1におけるロシター効果の観測を行った。ロシター効果とは、惑星が主星の自転を隠すために、トランジットの最中に主星の視線速度が特徴的なずれを起こす現象である。この効果はこれまで非常に明るいトランジット惑星系でしか検出が試みられていなかったが、今回の申請者による観測は暗い惑星系での世界で初めての試みであった。 この結果、申請者はTrES-1においてロシター効果の検出に成功し、この惑星系での主星の自転軸に対する惑星の公転軸の傾きが30±21度であることを明らかにした(Narita, et. al. 2007)。この結果は、惑星が原始惑星系円盤の中で内側へ移動していくという現在の標準的な惑星形成理論と、統計精度の範囲で矛盾のないものである。 また、今回の申請者の検出成功例により、ロシター効果の観測がTrES-1と同じように暗いトランジット惑星系でも可能であることが明らかとなった。実際TrES-1と同程度の明るさのトランジット惑星系は、近年のサーベイ観測で次第に発見されてきており、申請者の結果は今後の研究の幅を大きく広げる可能性を示したものとして意義深い。今回の結果を受けて、申請者はさらに研究を進めていく予定である。
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Research Products
(3 results)