2006 Fiscal Year Annual Research Report
初期宇宙における宇宙論的磁場と再電離時期の精密制限
Project/Area Number |
06J10713
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 大 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 宇宙論的初期磁場 / 宇宙背景放射 / 大規模構造形成 |
Research Abstract |
宇宙背景放射(Cosmic Microwave Background、以下、CMB)温度揺らぎは、小さいスケールにおいて観測と理論計算の矛盾が指摘されているが、宇宙論的な初期磁場(Primordial magnetic field : PMF)を考慮することでこの矛盾が解消できることが知られている。当研究では、CMBに対するPMFの影響を考慮した理論計算と複数の観測結果を、パラメータサーチに最も良く使用されているMarkov Chain Monte Carlo法(MCMC法)用いて比較することによって、PMFの振幅とパワースペクトラルインディクスを先行研究に比べてさらに精密に制限した。 また、先行研究の解析的な近似を数値計算に置き換えることにより精度を格段に向上させたプログラムを使用し、かつ、それまで考慮されていなかった磁場と密度場の相関関係を初めて取り入れ、宇宙論的スケールにおける密度場揺らぎへのPMFの影響を精密に研究した。その結果、 PMFがnG程度存在した場合、銀河団スケールにおいて、密度場揺らぎを数パーセントから十数パーセント変化させることを確認し、PMFが存在した場合、大規模構造形成に無視できない影響が現れることを確認した。 さらに、銀河の数密度分布の観測結果と、PNIFを考慮した宇宙論的スケールの密度場進化を比較することにより、磁場のパラメータをCMBは別の方法で制限するだけでなく、同時にPMFの生成論に対しても制限を見出した。この結果、PMFのパワースペクトラルインディックスは小さいほうに制限され、インフレーション起源といった、大きいスケールにパワーをもつPMFを生成する理論が比較的有効であることを示した。
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