2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J10728
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
南野 彰宏 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 暗黒物質 / キセノン / ニュートラリーノ / 超対称性理論 / 液体キセノン / 神岡地下実験施設 / WIMPs / XMASS |
Research Abstract |
最近の宇宙観測の発展により、宇宙の全エネルギーの約30%が物質のエネルギーであり、その約80%が暗黒物質であることが明らかになった。その暗黒物質が何であるかは宇宙論最大の謎でいまだ明らかになっていないが、超対称性理論で存在が予言されるニュートラリーノが有力視されている。この暗黒物質の直接検出の研究は世界中で精力的に行われており、発見はされていないが反応断面積の上限値が得られている。 私は修士課程1年次から、暗黒物質の直接探索を目的とした液体キセノン検出器の研究開発を神岡地下実験施設で行っている。これまでにプロトタイプ検出器を用いて位置とエネルギーの再構成のテスト、バックグラウンド起源の理解とその見積もり、ガンマ線自己遮蔽能力などの暗黒物質の同定に欠かせない能力の確認が行え、検出器を大型化したときに目標とされる暗黒物質探索感度は現実的に達成できる見込みである結論を得た。 本年度は暗黒物質探索を目的とした改良をプロトタイプ検出器に行い、約1か月間のデータ収集を行った。プロトタイプ検出器は一辺が約30cmの立方体型の検出器で、100kgの液体キセノン、54本の光電子増倍管を用いて測定を行う。光電子収量を増加させ暗黒物質探索におけるエネルギー閾値を下げる為に、検出器の内側の壁に鏡を取り付け、窓と光電子増倍管の間を高屈折率の物質で埋めるという改良を行った。上記の改良により光電子収量は1.94p. e./keVと改良前から約2.2倍増加し、暗黒物質探索において5keV程度のエネルギー閾値が達成できる見込みである。 現在は改良したプロトタイプ検出器を用いて取得した約1か月間の測定データの解析を進めている。今後は位置とエネルギーの再構成プログラムの改良を行いながら暗黒物質探索データの解析を進め、その成果を博士論文と学術論文にまとめる予定である。
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