2006 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン表面上に作製したアトミックワイヤー、ナノワイヤーの電気伝導特性
Project/Area Number |
06J10731
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沖野 泰之 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シリコン / 表面 / 電気伝導 / ナノワイヤー / アトミックワイヤー |
Research Abstract |
本研究ではシリコン表面上に一次元ナノワイヤーあるいはアトミックワイヤーのアレイ構造を自己組織的に作製して電気伝導測定から物性を調べるということをテーマとしている。 ナノワイヤーとしては、鉄シリサイドを用いた。鉄シリサイドぱ様々な相を持うが、中でも半導体であるβ相は光通信への応用が期待されている。幅90nmの鉄シリサイドナノワイギーを作製して電気特性を測定したところ、ショットキー障壁によってナノワイヤーは基板から絶縁されていたが、抵抗率時金属と絶縁体の中間程度の値を持ち、作製されたものはβ相ではなかった。ただし、β相に相転移させることができるという報告もあり、β相のナノワイヤーができたら応用上でも重要であるし、量子効果も見られるという期待が持てる。 アトミックワイヤーとしては、微傾斜したシリコン表面に金を蒸着してできるSi(553)・Auを用いた。この系は擬一次元金属なので、パイエルス不安定性のために金属絶縁件転移をすることが電子状態の研究から報告されており、本研究でも電気伝導測定から金属絶縁体転移を観測できた。また、電気伝導度の異方性を測定した。報告されている電子状態から伝導度を計算すると、ワイヤーに沿う方向の伝導度はワイヤーに垂直方向の伝導、すなわち鎖間相関による伝導度よりはるかに大きいと予想された。しかし、測定した結果、ワイヤーに沿う方向の伝導度は計算から予想された値の約8分の1であり、これはワイヤー上に点在する点欠陥のせいだと考えた。これを実証するた臥欠陥密度の少ないアトミックワイヤー列のSi(111)4xl・Inに欠陥を導入して異方性の変化を調べた。欠陥を増やしていくと、ワイヤー垂直方向の伝導度はほとんど変わらないが、ワイヤーに沿う方向の伝導度が急激に減少した。この結果、原子サイズの欠陥でも系のサイズが小さくなれぱ伝導度を大きく下げることを実証できた。
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