2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J10754
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
堀切 智之 National Institute of Informatics, 情報学プリンシプル研究系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 量子暗号 / シリコン / 量子中継 |
Research Abstract |
超長距離(>1000km)で量子鍵配布を行うためには、1つの光源と受信器を結んだ伝送路だけでは不可能であり、古典通信と同様に中継器が必要となる(量子中継器)。長距離でのエンタングルメント共有のために不可欠な量子中継技術には、量子状態の読み込み、読み出しを行うための量子メモリーが必要である。伝送路を飛んできた光の量子状態を量子メモリを構成する固体原子の量子状態に転写しまたその状態を光に戻せるようにする。そのための固体媒質としてシリコン結晶中にドープされたリン原子核スピンを採用する。シリコン中にドープされたリン原子束縛励起子からの発光を単一原子レベルで行うのが目標であるが、準備実験として高濃度にリン原子がドープされたシリコンウェーハー(リン原子濃度:〜10^<15>/cm^3,厚さ500μm)からの束縛励起子発光測定を行った。1078nm近傍にあるnon phonon遷移の発光を、その波長帯域で波長可変な狭帯域外部共振器付半導体レーザーおよびレーザーパワー増幅のためのファイバー増幅器を用いて、束縛励起子準位を共鳴励起した。測定の結果から温度が2Kから上昇するに従い発光波長が長波長側にシフトする事がわかった。また10K以上でほぼ信号が消えることも確認した。本測定でのサンプルは同位体制御されていないのでSi同位体比率においては天然サンプルであるために、束縛励起子からの発光スペクトルに0.1nm程度の広がりがあり、また温度チューニングによる発光波長の可能なシフト幅は0.05nm程度であることを確認できた。今後フォトニック結晶共振器サンプルで、共振器モードと発光波長との結合を達成するために必要な情報であり、本研究の測定結果を用いて共振器作成段階に進むことができる。
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Research Products
(1 results)