2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J10770
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大月 祥子 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 金星 / 酸素分子大気光 / 回転温度 / 地上観測 / 近赤外 / 分光 |
Research Abstract |
本研究は観測データに基づいた金星大気の力学・化学を理解することを目的としており、特に本年度は上層大気に焦点を当てた研究を行なった。 1.観測データの解析と次期プロポーザル作成 2005年12月〜2006年2月の間にハワイ・マウナケア山のNASA赤外線望遠鏡施設(IRTF)で取得した金星O_2大気光のデータの解析を行なった。スペクトルから、O_2大気光の夜半球輝度分布および回転温度分布を導出した。大気光の高度における温度の水平分布を観測的に導出したのは本研究が初であり、輝度分布との比較から大気光輝度と回転温度の間に関連を見出した。この結果はAdvances in Space Research誌に投稿中である。 また、2007年6〜10月の金星夜面観測期は欧州の金星探査機Venus Expressの正規の観測期間を含む唯一の地上観測好期である。2005-2006年冬の観測結果を踏まえ、探査機との共同観測に向けたプロポーザルの作成を行なった。近距離 から詳細な大気光輝度分布を得る衛星観測に対し、地上観測では衛星搭載不可能な高波長分解能分光器を用いて輝度・ 温度を同時観測する。また、次期は特に、大気光分布の時間変動を捕えるため1日 8時間のモニタリングをする。現在、金星内合の2回(5月末・7月中旬)のプロポーザルが採択されており、さらに内合後にも2回の観測を申請している。 2.金星上層大気力学・化学の理解 これまでの全観測結果を基に、輸送・大気化学について考察した。高層大気における昼夜循環中の沈み込み部分で起こっている酸素の再結合による化学加熱・沈み込みによる断熱圧縮などを考え、その効果を見積もった。それらの値を観測結果と比較し、下降流の速度・酸素量・発光層高度などについて推察した。この結果は現在投稿準備中である。
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