2006 Fiscal Year Annual Research Report
反射法地震探査を用いた南海トラフプレート境界面の間隙水圧分布の解明
Project/Area Number |
06J10775
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻 健 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 南海トラフ / 地震性分岐断層 / 延岡衝上断層 / 反射法地震探査 / 間隙水圧 / 岩石物理学 / 実験室弾性波測定 |
Research Abstract |
1.熊野沖の反射法地震探査断面図で同定される分岐断層では、1944年の東南海地震の際に滑りを生じ、津波を引き起こしたと考えられている。しかし、この分岐断層の特徴を反射法地震探査データだけから解明することは難しい。そこで過去の分岐断層とされる延岡断層から取得された岩石試料の物性値を測定し、現在の熊野沖分岐断層の音響特性と比較することで、分岐断層の特性を推定した。延岡断層の上盤は、泥質千枚岩から構成されており、 顕著な地震波速度異方性が確認された。特に主断層面の直上では、音波速度が非常に速いことが分かった。これはクラックが石英によって充填され、開ロクラックが減少したことを反映していると考えられる。一方、下盤側は変形が顕著で、上盤よりも音波速度が遅く速度異方性も小さいことが分かった。さらに延岡断層の物性値から計算された理論的なAmplitude Variation with Offset(AVO)と、反射法地鰻探査データから得られる実際の分岐断層のAVOとの比較から、分岐断層の下盤側は高間隙水圧状態であることが示唆された (Tsuji et al.,2006)。 2.反射法地震探査データから得られる区間速度から、付加体内部の間隙水圧分布を定量的に推定するための理論的な手法を開発した。まず間隙の形状を実験室データと検層データから推測し、その推定された間隙の形状をDifferential Effective Medium理論に入力することで有効圧に依存した理論的な音波速度を計算した。これを実際の反射法データから得られる区間速度と比較することによって付加体内部の有効圧を推定し、さらに全圧との差から付加体内部の間隙水圧分布を求めた。その結果、プレート境界面下位の堆積物は高間隙水圧状態であることが分かった。さらにプレート境界面上位においても、変形フロントより陸側では高間隙水圧状態であることが推定された。
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Research Products
(3 results)