2006 Fiscal Year Annual Research Report
孵卵温度が温度依存性性決定動物の性ステロイド関連遺伝子発現へ及ぼす影響の解析
Project/Area Number |
06J10814
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 大輔 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヒョウモントカゲモドキ / 性決定 / 性分化 / 温度依存性性決定 / 脳 / 有鱗目 / 性ステロイドホルモン |
Research Abstract |
平成18年度には温度依存性性決定動物であるヒョウモントカゲモドキにおいて発生初期の胚における性ステロイドホルモン関連遺伝子の発現分布の解析を行うことを第一の目標としていた。 そこで約60個のヒョウモントカゲモドキ受精卵をメスが多く産まれる温度である26℃と34℃で孵卵するもの、オスが多く産まれる温度である32℃で孵卵するものに分け、温度感受期の間、後を含む様々なステージで解剖した。各胚からそれらのステージにおいてサンプリングしうるすべての器官を取り出し、cDNAを調整、RT-PCRによって2種の性ステロイドホルモン合成酵素、4種の性ステロイドホルモン受容体のmRNA発現分布を解析した。その結果、温度感受期前から合成酵素は脳と生殖腺において発現していること、受容体はやはり発生初期から全身的な発現を示すことが明らかとなった。このことは発生器において脳と生殖腺が主要な性ステロイドホルモン産生器官であること、そして脳と生殖腺で産生されたステロイドはそれらの分化に影響しうることを示唆している。発現分布パターンに付加卵温度による違いは観察されなかったため、その発現量に対する孵卵温度の影響を競合的PCR法により解析した。哺乳類でオス特異的発現が報告されているP450scc、鳥類、爬虫類などでメス特異的な発現が報告されているP450aromともに胚の生殖腺における発現量に孵卵温度の影響は観察されなかった。孵化直前のステージにおいても生殖腺に形態的な雌雄差が見られなかったことから、ヒョウモントカゲモドキにおいては生殖腺の性分化は性決定から非常に遅れて進行すること、生殖腺から分泌される性ステロイドホルモンは性決定に関与しないと考えられる。現在、生殖腺の性分化期について調べる目的で孵化直後の胚における形態的性差および遺伝子発現量における差を解析中である。
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Research Products
(1 results)