2006 Fiscal Year Annual Research Report
終神経ペプチドニューロン系の生理機能の解明-神経修飾システムとしてのはたらき-
Project/Area Number |
06J10818
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
羽田 幸祐 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生理学 / 神経科学 / ペプチド / GnRH / 電気生理学 |
Research Abstract |
当初予定していた実験が全て成功したわけではないが研究計画は着実に進行している。初年度の計画として申請していた、以下の二つの点についてその実施状況を報告する。 まず、1.感覚入力が終神経の活動に及ぼす影響について調べるにあたり、in vivo標本の作製に着手した。麻酔方法および個体不動化の手法について検討し、生体内に近い状態の終神経の神経活動を直接記録する実験形の確立を試みた。現状では感覚刺激の方法および記録の不安定性などの点で改善の必要があるものの、生体内に近い状態の終神経の神経活動の記録に成功し、予備的な実験ではあるが光刺激への応答を確認している。これに関連して人工的な刺激で終神経系の活動を制御する手法を検討していたところ、これらの神経集団が数ミリ秒の時間差を伴って逐次的に発火していることを示唆する結果が得られた。この成果は本研究材料の利点を活かした独自のものであり、すでに二つの学会と研究会で研究報告を行っている(学会発表1および2)。 また、2.終神経が標的神経系に及ぼす影響について調べるために、脳内の広範囲に分布する標的神経系を形態学的手法で同定することを計画した。当初は初期応答遺伝子の発現変動を指標として用いることを提案していたが、過去に行われた終神経の形態学的解析を改めて検討したところ個々の終神経細胞の投射領域の不均一性を明らかにする必要があると判断したためである。現在詳細な形態学的解析を行っているところであるが、この研究成果は神経修飾系の広範な軸索投射と個々の神経細胞の軸索投射との関係について新しい特徴を提案することにつながるものと期待している。
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