2006 Fiscal Year Annual Research Report
ウミシダ(棘皮動物ウミユリ綱)を用いた再生芽特異的遺伝子の解析
Project/Area Number |
06J10833
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 朋子 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ウミシダ / 再生 / 再生芽 / 棘皮動物 / ウミユリ綱 / Notch |
Research Abstract |
ニッポンウミシダの再生芽特異的遺伝子の解析に先立ち、ウミシダの腕の再生過程の詳細な組織学的解析を行った。一般的に用いられるヘマトキシリン-エオシン染色に加え、靭帯と筋肉の染め分けが可能な、アザン染色を導入した。これにより、ウミシダの主な組織である(1)靭帯・(2)筋肉・(3)神経の再生過程を微細に観察することが可能になった。これにより、ウミシダの腕の再生は、1.神経の退縮、2.創傷治癒、3.再生芽の形成、4.再生芽への神経の陥入、5.本体側の筋肉の脱分化、6.骨片の形成、7.靭帯の形成、8.筋肉の形成、という順で起こることが明らかになった。 同時に、再生過程におけるBrdUの取り込み実験を行い、腕の反口側よりも口側で、多くの細胞増殖が起こっていることを明らかにした。 上記のような基礎的情報を蓄積した上で、遺伝子の解析を開始した。cDNAライブラリの作成とEST解析を行ったほか、PCRを用いて、いくつかの有用な遺伝子を単離した。さらに、これまで確立されていなかった、ウミシダ成体を用いた切片in situ hybridizationの方法を確立し、再生腕における遺伝子の空間的発現解析を可能とした。現在までに、再生腕におけるNotch、Mysin heavy chainなどの遺伝子の発現解析に成功している。これによって、再生腕の分節形成過程においてNotchが発現することを明らかにした。今後、その他の遺伝子の発現解析を行うほか、再生各段階における発現の変化を明らかにする予定である。
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