2007 Fiscal Year Annual Research Report
ウミシダ(棘皮動物ウミユリ網)を用いた再生芽特異的遺伝子の解析
Project/Area Number |
06J10833
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 朋子 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ウミシダ / 再生 / 再生芽 / 分節 / 棘皮動物 / 新口動物 / 進化 |
Research Abstract |
前年度までに,ウミシダの腕の再生過程の詳細な組織学的解析を行った。これにより、ウミシダの主な組織である(1)靭帯・(2)筋肉・(3)神経の再生過程を微細に観察することが可能になった。これにより、ウミシダの腕の再生は、 1.神経の退縮、 2.創傷治癒、 3.再生芽の形成、 4.再生芽への神経の陥入、 5.本体側の筋肉の脱分化、 6.骨片の形成、 7.靭帯の形成、 8.筋肉の形成、という順で起こることが明らかになった。また、BrdU取り込み実験により、再生過程に置ける細胞増殖部位を明らかにした。また、cDNAライブラリの作成、EST解析を行った。 本年度は、上記のような基礎的情報の蓄積の上、さらに遺伝子の解析を行った。PCRを用いて再生芽/再生腕において発現する遺伝子をいくつか単離し、その発現解析を行った。その課程で、ウミシダ再生腕の切片in situ hybridizationの手法を確立した。ウミシダの遺伝子発現解析を行った先行研究でも、切片を用いたin situ hybridizationの例はなく、確率には困難を極めたが、他の動物での手法を改変することにより、ウミシダでも可能となった。その結果、再生腕においてNotch,HESの空間的発現パターンが明らかになった。結果から、これらの遺伝子が、再生腕の分節形成過程において働いていることが示唆された。 棘皮動物が分節構造を持つことはこれまであまり注目されていなかった。しかし、本研究により、分節構造の存在を組織学的に明らかにした上、その形成過程に脊椎動物と共通する遺伝子が用いられていることを示唆する結果を得た。これは、多細胞動物に置ける分節構造の進化を解明する上で非常に重要な成果である。
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Research Products
(1 results)