2006 Fiscal Year Annual Research Report
外来種マングースが奄美大島の動物群集におよぼす影響-在来種の持続的維持に向けて
Project/Area Number |
06J10848
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
亘 悠哉 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 外来種 / 生物間相互作用 / 奄美大島 / 食物網 |
Research Abstract |
本研究の目的は、在来種が持続可能なマングース密度をシミュレーションモデルを用いて明らかにすることであり、本年度は、パラメーター推定のための食性分析と野外調査を中心に行った。 ○食性分析 捕殺ワナで捕獲されたマングースの胃内容物分析を行った。重量割合を算出した結果、マングースは節足動物やトカゲなど、豊富に生息する餌動物に依存していることが明らかになった。また、希少種は、アマミノクロウサギやアマミトゲネズミ、ケナガネズミなどが検出された。この結果は、マングースが高密度に生息できる理由として、豊富に生息する餌資源を利用できるからであるということを示唆している。今後、サンプル数を増やすとともに、食性の時空間的な変動も明らかにする予定である。また、カエル類3種とトカゲ類1種の胃内容物のサンプリングも行い、これから分析を進める予定である。 ○在来生物の個体数調査 トランセクト調査・自動車調査によりトカゲ・カエル類の生息調査を行い、さまざまなマングース密度の地域における生息密度を明らかにした。トカゲ類に関してはおもに地上をハビタットとする種、カエル類では大型の種がマングースに対して脆弱であることが示唆された。また、マングースの主要な餌動物である、オオゲジの生息状況を調査するために、オオゲジ用の巣箱を作成し、14箇所の調査地に合計196個設置した。巣箱使用状況はこれから調査する予定である。これらのセンサス結果の一部は、爬虫両棲類学会報とBiological Invasions上で報告した。また、7×7mのエクスクロージャーを4つ作製し、除去法による節足動物の絶対数の調査を行い、4種についての絶対数とトラップ捕獲率の関係を明らかにした。 来年度は以上の食性分析と在来種の生息密度から、各種間の相互作用を推定し、さまざまなマングース密度下での在来種の個体数推移をシミュレートする予定である。
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Research Products
(2 results)