2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規クロマチン高次構造調節因子の同定とその形状解析
Project/Area Number |
06J10870
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 絵里子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | クロマチンバウンダリー / RNA / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
本研究では未知クロマチンバウンダリー制御因子探索のため、ショウジョウバエ個体にてインシュレーターを用いた新たなクロマチン構造評価系を構築した。2つのインシュレーターに挟まれた領域には蛍光タンパク遺伝子mRFPを、インシュレーター外側の領域にはGFPとYFPをそれぞれ組み込み、ゲノム内に挿入し、これら3種類の蛍光タンパク発現量をクロマチン活性化状態の指標とした。その結果、ユークロマチン領域では3種類の蛍光発現が認められたが、ヘテロクロマチン領域ではmRFPのみの発現が認められた。よって、構築した外因性インシュレーターは機能的であり、クロマチンバウンダリーモデルショウジョウバエの作出に成功したといえる。さらに、このクロマチンバウンダリーモデルショウジョウバエを用い、未知クロマチンバウンダリー制御因子のスクリーニングを行っている。スクリーニングで取得された候補遺伝子には、RNAi machinary componentであるDcr-2が含まれており、クロマチン制御へのRNAの関与が示唆された。そこで、クロマチン制御に関与するRNAを探索するため、インシュレーター配列そのものに着目し、実験を進めた。その結果、ショウジョウバエのインシュレーターであるscs, scs'由来のnon-coding RNAを発見した。scs, scs'はショウジョウバエの唾液腺染色体で観察されるheat shock puffの端に存在する。scs'由来のnon-coding RNAをショウジョウバエ3齢幼虫唾液腺染色体で過剰発現させたことろ、heat shock puffの形成が阻害された。Dcr-2の遺伝子欠損変異体でもheat shock puffの形成異常が観察された。よって、non-coding RNAがDcr-2と協調的に働き、クロマチン構造を制御していることが考えられた。
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