2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J10878
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三輪 京子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シロイヌナズナ / ホウ素 / 植物無機栄養 / トランスポーター / タンパク質分解 / 環境応答 / 変異株 / スクリーニング |
Research Abstract |
シロイヌナズナBOR1は細胞膜に局在するホウ素輸送体をコードする。BOR1は転写後制御を受け、ホウ素十分・過剰条件ではエンドサイトーシスによる分解を受け、蓄積しない。BOR1の蓄積制御機構に関与する分子の同定を通じて、植物の必須元素(ホウ素)を感知する分子のはじめての単離を研究の目的とした。 そこで、ホウ素栄養に応じたBOR1蓄積に異常を示すシロイヌナズナ変異株を単離し、原因遺伝子の同定を試みた。 (1)ホウ素欠乏条件においてBOR1が蓄積しない変異株の単離を目指し、BOR1をゲノムに野生型株に導入したBOR1を複数コピーもつ形質転換体を親株として、変異株スクリーニングを行った。EMS処理したM2世代1万株からホウ素欠乏感受性を示し、ホウ素十分条件で生育が回復する9株を単離した。マッピングを行ったところ、2株で4番染色体2Mb、2株で2番染色体19Mb、3株で2番染色体14Mbに連鎖が検出された。2番染色体14Mbでは100kbの領域に存在する新規の遺伝子が原因遺伝子と推測された。 (2)ホウ素十分条件においてBOR1が蓄積する変異株の単離のため、BOR1-GFPを構成的に発現する形質転換体を親株として用いた。ホウ素十分条件でGFP蛍光の観察によるスクリーニングにより、2万株から地上部での観察により10ライン、3万6千株から地下部の観察により20ラインを単離した。ウェスタン解析によりBOR1-GFPの蓄積を確認した。 加えて、BOR1はホウ素過剰条件で分解を受ける一方で、シロイヌナズナに存在する相同タンパクのBOR4は、過剰発現させた際にホウ素過剰条件でも高い蓄積を示すことを見出した。BOR4はホウ素過剰で分解を受けないことが示され、BOR1のホウ素による分解に必要なアミノ酸残基の同定に有用な示唆を与える結果を得た。また、BOR4の過剰発現により、植物にホウ酸過剰耐性が付与されることが明らかになり、世界で初めてのホウ酸過剰耐性植物の作出に成功した。
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Research Products
(2 results)