2006 Fiscal Year Annual Research Report
小腸パイエル板CD3-IL-2R+細胞による新規IgA抗体産生経路に関する研究
Project/Area Number |
06J10896
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅田 幸子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | パイエル板 / IgA / IL-5 / TLR / poly I : C / ウイルス |
Research Abstract |
我々はこれまでにパイエル板(PP)CD3-IL_2R^+細胞がIL_2刺激に応答してIL_5を高産生し、B細胞との共培養ではB細胞のIgA抗体産生をIL_5依存的に促進することを見出し報告してきている。今年度はPP CD3_IL_2R^+細胞が腸管に存在することから腸管微生物やウイルス刺激に応答する可能性に焦点を当て解析した。具体的には、近年微生物の構成成分を認識するレセプターとして報告されているTLR(Toll-like receptors)の発現をRT-PCR法を用いて定量した。 解析の結果、本細胞はTLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR6、TLR7、TLR8そしてTLR9を発現していることが明らかになった。そこで発現の確認できたTLRの各リガンドで本細胞を刺激した結果、lipoteichoic acid(TLR2)、lipopolysaccharide(TLR4)、R848(TLR7/8)、CpG DNA(TLR9)刺激によりIL_5mRNA発現が上昇した。特にTLR3のリガンドである二本鎖RNA(double strand RNA ; poly I : C)刺激によりIL_5mRNAの発現が強力に誘導された。さらに粘膜固有層への移動に関与するケモカインレセプターであるCCR9 mRNA発現も顕著に上昇した。またpoly I : Cで刺激した本細胞を移入するとレシピエントマウスのIgA産生量が上昇した。二本鎖RNAはウィルスに特有の構造であり、宿主の細胞内でRNAウイルスが複製する過程で産生される構造である。このことから、PP CD3-IL_2R^+細胞はウイルス感染を認識後、IL_5を産生してパイエル板から粘膜固有層へと移動しB細胞のIgA抗体産生を促進する可能性が示された。現在、in vitroでPP CD3-IL_2R^+細胞にウイルスを感染させ、本細胞の応答性について解析中である。
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