2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J10909
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒木 真理 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ウナギ / レプトセファルス / 回遊 / 魚類生態学 / 初期生活史 / 耳石 / 仔魚 / 脂肪酸組成 |
Research Abstract |
1.平成18年6月26日から7月28日に、学術研究船白鳳丸を用いて西部北太平洋のマリアナ西方海域において、A. marmorataの仔魚レプトセファルスの調査を実施した。また、平成18年11月2日から12月4日に、学術研究船白鳳丸を用いてインド洋東部海域において熱帯ウナギのレプトセファルスの調査を実施した。 2.マリアナ沖で採集されたレプトセファルス標本(n=60)及びフィリピン(n=35)、インドネシア(n=128)とアイスランド(n=351)で採集されたシラスウナギ標本について、ミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子を用いた種同定を行った。その結果、形態形質のみでは種を同定することのできなかった仔魚について正確に同定することできた。 3.世界各地の9地点(アイスランド、フランス、コモロ諸島、日本、フィリピン、インドネシア・ポイガル、インドネシア・ポソ、ニュージーランド東部、ニュージーランド西部)で採集されたシラスウナギ標本(n=653)の耳石微細構造に基づく初期生活史推定を行った。その結果、基本的な構造は同様であるものの、変態期を示すといわれる耳石の輪紋間隔の変化は熱帯種ほど顕著であることがわかった。さらに、変態や接岸などは種特異的で、各種の回遊生態に適したな生活史スケジュールを持つことがわかった。 4.レプトセファルスの食性解析を行うため、北太平洋(n=11)と南太平洋(n=4)で採集されたレプトセファルスの脂肪酸組成の分析を初めて行った。その結果、種による違いは認められなかったが、北太平洋と南太平洋の間で海域による組成の違いが示された。レプトセファルスの種による餌の選択嗜好性はないことが示されたことから、レプトセファルスは外洋で豊富に生成され、分布する海域や水塊の違いによって成分や量がそれぞれ異なるマリンスノーを摂餌している可能性が強く示された。
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