2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J10914
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 壮一 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | プロラクチン / 浸透圧調節 / 下垂体 / ティラピア / プロラクチン分泌ペプチド / 低浸透圧適応 / 視床下部 / プロラクチン分泌ペプチド受容体 |
Research Abstract |
PRL産生細胞におけるPRLの発現は外環境水の浸透圧に反比例して、淡水で高く、海水で低くなることが報告されている。この特性を利用して、不明な点が多い中枢における浸透圧変化応答機構の解明を試みた。まず、淡水および海水飼育個体からPRL産生細胞のみを単離し、培養液浸透圧を変化させて培養したが、PRL発現量には変化が見られず、PRL産生細胞自身は発現調節能を持たないことが示され、視床下部に代表されるさらに上流の中枢による制御によりPRL発現が制御されていることが強く示唆された。そこで、PRL分泌ペプチドに着目してさらに実験を行なった。まず、PRL産生細胞においてPRL分泌ペプチドが直接作用し、PRL発現上昇活性を持つことを確認するため、淡水および海水飼育個体よりPRL産生細胞を単離し、PRL分泌ペプチド添加培養実験を行なった。その結果、海水飼育個体由来の細胞では有意なPRL発現上昇活性が認められた。このことは不活性型である海水個体のPRL産生細胞の活性化トリガーとしてPRL分泌ペプチドが重要な働きをしていることを示唆している。しかし、この発現上昇活性は生体での反応と比較して決して十分であるとは言えず、他の補因子の存在が考えられる。さらに下垂体前葉端部よりPRL分泌ペプチド受容体を同定し、下垂体における局在を明らかにした。その結果、PRL産生細胞においてこの受容体は常に発現し、そのレベルも変化せず、細胞膜上への局在が観察された。このことからPRL産生細胞はPRL分泌ペプチドを直接受容可能であることが示された。また、下垂体神経葉において広い範囲でPRL分泌ペプチド受容体の局在が観察され、神経伝達物質および神経修飾物質として機能し、下垂体全体の機能調節に関与していることも示唆された。
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Research Products
(2 results)