2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境・農業分野におけるリモートセンシングを用いた高精度植生評価手法の開発と適用
Project/Area Number |
06J10929
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
粟津 勤 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リモートセンシング / エンドメンバー / 被覆率 / ハイパースペクトル / マルチスペクトル / 特異値分解 / 拘束条件 / ミクセル |
Research Abstract |
汎用性の高いエンドメンバー推定手法の確立のため、マルチスペクトルのシミュレーションデータを用いてエンドメンバーの推定をおこなった。ここでは、少なすぎるバンド数を内挿によって補い、植生と土壌のエンドメンバーが交差する点において、全ての観測スペクトルでも同じ点で交差するという新たな拘束条件を利用することで、精度よくエンドメンバーを推定することが可能であることを示せた。なお、本研究では内挿されたバンド数が30以上のとき、精度よくエンドメンバーが推定された。 さらに、マルチスペクトルの実画像データを用いてエンドメンバーの推定をおこなった。その結果、土壌のエンドメセバーにおいて多少の誤差が見られた。これは、バンドの数が少ないことによる拘束力の弱さが原因であると考えられる。しかし、植生のエンドメンバーに関しては精度のよい推定が可能であった。 さらに農地よりも汎用性の高い広域環境評価のために、3カテゴリーのミクセルにおいてエンドメンバーの推定をこころみた。植生と土壌と水域という3カテゴリーのミクセルにおいては、シミュレーションデータを用いた場合、頂点拘束条件を使用することで精度よくエンドメンバーと被覆率を推定できた。水域の被覆率は7%程度の誤差に抑えることができ、植生・土壌は1%程度の誤差であった。 また、3カテゴリーのミクセルにおいて重要な役割を果たしている頂点拘束条件は、三角形を人為に描くとすると手間がかかる、恣意が含まれる等の問題点があったため、三角形を自動的に描くプログラムを構築した。これにより、ほぼ精度を下げることなく、手間を省き、恣意を取り除いて3カテゴリーのエンドメンバーを推定することができた。 次に、ハイパースペクトルの実画像を用いて3カテゴリーのミクセルを対象としてエンドメンバーの推定をおこなった。全体的に値が小さくスペクトル波形に特徴の乏しい水域や、値が小さく水域のエンドメンバーと似ている植生の可視域において僅かに誤差が見られたが、その他の部分ではエンドメンバーを精度よく推定できることが示された。 さらに汎用性を高めるため、よりバンドの少ないマルチスペクトルデータの実画像を用いて3カテゴリーのミクセルにおいてエンドメンバーの推定をおこなった。その際、ある程度綺麗な三角形を描けるようなデータの場合は、頂点拘束条件と非負拘束条件、被覆率拘束条件を特異値分解法に組み合わせて使用することでエンドメンバーを精度よく推定できた。しかしながら、データによっては三角形が上手く描くことができず、推定の誤差は大きくなった。この問題を解決することが今後の課題と言える。
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