2006 Fiscal Year Annual Research Report
司法制度と地域社会:インドネシア・メダン市の地方裁判所における民事紛争処理の諸相
Project/Area Number |
06J11012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高野 さやか 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 民俗誌 / インドネシア / 文化人類学 / 比較法学 / 法人類学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、インドネシア共和国の地方レベルにおける司法制度と地域社会の関係を、既存の研究の再検討、および文化人類学的フィールドワークによって明らかにすることである。初年度である本年は、スマトラ島・メダン市の地方裁判所を中心に、地方都市における司法を理解するための基礎的データを収集したほか、先行研究を通じて、インドネシアにおける法概念の変遷を整理した。 1 具体的に行った作業 (1)資料収集:出版物、司法統計、裁判資料 (2)メダン地方裁判所における裁判の傍聴 (3)関係者への聞き取り:判事、検察官、書記官、紛争当事者、弁護士など 2 得られた知見 インドネシアでは、紛争処理における慣習法の影響が強調され、その一方で国家司法の役割は軽視されてきた。しかし、メダン地方裁判所が担っているのは、法の一方的な押し付けではなく、法と地域社会のあいだを調整する機能である。 研究成果を発表するための論文を現在執筆中であり、6月に行われる日本文化人類学会では口頭発表も予定している。次年度は、メダンのような都市部においで慣習法が発現したいくつかの事例に注目して研究を継続する。
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