2007 Fiscal Year Annual Research Report
司法制度と地域社会:インドネシア・メダン市の地方裁判所における民事紛争処理の諸相
Project/Area Number |
06J11012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高野 さやか The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 民族誌 / インドネシア / 文化人類学 / 比較法学 / 法人類学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、インドネシアにおける司法制度と地域の関係、及びその変容について、文化人類学的なフィールドワークを通じて明らかにすることである。法と社会をめぐる問題が、それぞれの国の枠を超えて生じている現在において、第三世界における法の有様を地域レベルにおいてとらえるため、今年年度は、以下の三つの点に注目して、現地調査および文献を収集した。 1 BPRPIの活動:BPRPIは、オランダからインドネシア政府に返還され、国有地となった土地に対して、先住民としての所有権を求めて活動する団体である。関係者および推進中の裁判の傍聴、訴訟資料の収集を行った。 2 地方裁判所で働く人々:裁判官・書記官・事務員・弁護士といった人々が、どのような過程を経って、どのような業務を行っているのかについて、メダン地方裁判所に聞き取り調査を行った。 3 審理における会話:メダン地方裁判所においては、傍聴だけでなく、裁判官・当事者・代理人のやり取りを録音することが可能であるため、そこから読み取れる、それぞれの立場からの主張を分析した。 前年度までに検討したインドネシアにおける法の概念、および地方裁判所における紛争処理の現状についての基礎的テータと、今年度に集中的に扱った具体的紛争事例の検討によって、インドネシアにおける国家法と習慣法の現在を、異なる視点から分析するころができた。研究成果については、すでに日本文化人類学会研究大会での口頭発表を行っており、発表内容を踏まえた論文を2008年中に投稿予定である。
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Research Products
(3 results)