2006 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀史における「暴力」と「革命」:ジョルジュ・ソレルを通じて
Project/Area Number |
06J11017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金山 準 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フランス:イタリア / 思想史 / ファシズム / 社会主義 |
Research Abstract |
本研究の目的は以下二点であった。第一に、革命と暴力という思想の20世紀的形態を、19世紀の1それとの対比により考察すること。第二の目的は、ジョルジュ・ソレルの思想とその歴史的意義を、彼の前史と影響をも含め、革命と暴力という統一的視点を設定することで明確にすることである。それを通じて、第一の目的も果される。 具体的な研究対象は、以下3点に区分される。第一に、ソレルに影響を与えた19世紀社会主義(特にマルクス・プルードン)、第二に、世紀転換期に形成されたソレルの社会主義、そして第三に、ソレルから深い影響を受けた20世紀の諸思想である。 平成18年度は、以上の3点の全体において研究を進めた。第一点と第二点については、学会報告(「ジョルジュ・ソレルとサンディカリズム:「ソレリズム」の生成と展開」社会思想史学会第31回大会)において成果を報告した。そこでは、革命的サンディカリズムの代表的思想家という通俗的理解に反して、ソレルにはマルクス主義的契機が強く見られること、またマルクス主義とサンディカリズムの特異な結合が彼の思想の重要な特質となっていることを論じた。第三点については、ソレルから多大な影響を受けたイタリアの思想家であるアルトゥーロ・ラブリオーラ、またアントニオ・グラムシについての論文を公表予定である。なお翻訳業績『国家論のクリティーク』に関して報告者は第4章「国家概念の再利用」を担当した。本章は19-20世紀のマルクス主義者における国家観を扱ったものであり、上の研究対象としては第一点から第三点に広く関連している。
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