2007 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀史における「暴カ」と「革命」:ジョルジュ・ソレルを通じて
Project/Area Number |
06J11017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金山 準 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フランス / イタリア / 社会主義 / ファシズム / 社会思想史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、フランス社会思想家ジョルジュ・ソレルの思想を通じて、20世紀史における「暴力」と「革命」の思想の歴史的意義を考察することにあった。平成19年度における第一の検討対象は、資本主義・議会制民主主義の乗り越えを測った左右の「社会主義」に彼の思想が及ぼした影響を主たる検討対象とした。 『思想』掲載の論文「神話と機械-ジョルジュ・ソレルと二○世紀「社会主義」-」では、フランス・サンディカリズムとソレルと接点を確認する。サンディカルズムは一九世紀フランス社会思想の伝統を世紀末に受け継いだフランス・サンディカリズムの影響を受けつつも、彼がそれをまったく別の文脈(たとえばマルクス主義)へと接続する点を強調した。このようなソレル思想は、二〇世紀の左派に対する多大なインスピレーションの源泉になると同時に、ファシズムとも明らかな親近性をもっている。同論文は、単なる「非合理主義」と捉えられがちなソレルの思想についてその内実を精査することで、彼の影響力の源泉がむしろ「モラル」と生産力への志向にあることを示した点に重要な意義がある。 また、学会報告「デュルケムとソレル:連帯と無限をめぐって」では、ソレルが第三共和政の公的イデヲローグたるデュルケムから深い影響を受けつつも、反体制の社会主義者へと転換していく契機を考察した。従来フランス第三共和政期の思想史研究においては、体制派の思想家と反体制派の思想家とはそれぞれ別個に扱われてきたが、本報告はそれらを同一の次元において扱う視座を提供した点に意義がある。
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