2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロセクシズムと近代家族-19世紀イギリスにおける法制度の変容を中心に-
Project/Area Number |
06J11024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野田 恵子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC)
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Keywords | セクシュアリティ / ジェンダー / イギリス社会史 / 親密性 / 家族 / 歴史社会学 / 家族法 / 社会問題 |
Research Abstract |
前年度行っていた資料の収集・分析を続行し、研究課題についての考察を深めることができた。本年度の研究の成果は、以下の通りである。 (1)『思想』に掲載の論文 歴史上、社会的に問題化されなかった女同志の親密な関係が、どのような経緯を辿り近代社会において可視化されることになったのか、その背景を、「ラドクリフ・ホール事件」という出来事を事例に、一次資料を丹念に調査することで歴史社会学的に考察した。そのことによって十九世紀以後のイギリス社会が、家族や親密性、性やジェンダーといった問題にどのようにかかわってきたのか、その変容の軌跡、およびその意味を明らかにした。 (2)関東社会学会での口頭発表 十九世紀後半以後イギリスにおいて犯罪化されていた男同志の親密な関係が、二十世紀後半に成立した性犯罪法(1967)において脱犯罪化された経緯を検証し、「同性愛」の脱犯罪化が可能になった社会的・歴史的背景、およびその含意を再考し、同性婚の可能性の条件を指摘した。 (3)『世界の女性講座・イギリス女性の今』千葉市女性センターにて講演 なお、副次的な課題になるが、本研究の課題の遂行に平行して、イギリス女性労働史、およびその現在的課題を、「ワーク・ライフ。バランス社会」への移行という観点から考え、日本社会はの示唆を得るための講演会において講演を行った。これによって、本研究にとっても必要となるジェンダーの観点からイギリス戦後史を整理できた。
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Research Products
(2 results)