2006 Fiscal Year Annual Research Report
死の不安に対する防衛反応の文化内差、文化間差を説明するプロセスモデルの検証
Project/Area Number |
06J11043
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
脇本 竜太郎 東京大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 存在脅威管理理論 / 顕在的自己評価 / 潜在的自己評価 / 謙遜 / 社会的文脈 / プライミング |
Research Abstract |
本年度はまず,謙遜規範を状況的に顕現化するプライミング手法について予備実験を行った.謙遜反応が関係への配慮から生じるという点から,関係文脈では個人文脈の場合よりも謙遜規範の働きが強くなると考えられた.そこで,文脈操作としてGardnerら(1999)のI-Weプライム法,Trafimow(1991)による架空シナリオ法の素材を日本語訳したものの効果を検討した.大学生56名(女性39名,男性17名)がいずれかのプライム法で個人文脈もしくは関係文脈を顕現化する操作を受けた後,自己記述の質問紙に回答した.その結果,I-Weプライム法で,We条件でI条件よりも個人的側面の記述が少ないという理論的予測と整合するパターンが得られたので,本実験ではI-Weプライム法を採用することとした. 次に,日本人被験者を対象に,実存的脅威の顕現化と社会的文脈が顕在的・潜在的自己評価に及ぼす影響について検討した.70名(女性64名,男性6名)の大学生が1回10人程度のグループで実験に参加した.実験は(1)文脈の操作(個人対社会)(2)誕生日効果による潜在的自己評価測定(事前得点)(3)実存的脅威の顕現化の操作(実存対統制)(4)潜在的自己評価測定(事後得点)(5)個人的特性・社会的特性の顕在的自己評価の順に行われた.文脈操作,実存的脅威の操作および事前得点を予測変数とする一般線形モデルによる分析を事後得点,個人特性,社会特性それぞれに対して行った.その結果,個人文脈群においては,統制条件と比較してMS操作条件で潜在的自己評価は高く,社会的特性の自己評価が低い傾向が見られた.一方,社会的文脈群においては,統制条件と比較してMS操作条件で潜在的自己評価が数値上低く,社会的特性の評価が高い数値上の傾向が見られたが,統計的に有意ではなかった.
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