2006 Fiscal Year Annual Research Report
ビフェニルジオール型配位子を用いた、革新的触媒的不斉反応の開発
Project/Area Number |
06J11070
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
筧 広行 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 希土類金属 / 触媒反応 / 不斉反応 / α,β-不飽和カルボニル化合物 / 三員環形成 / エポキシ化 / シクロプロパン化 |
Research Abstract |
今年度の前半は容易に購入可能なBINOL配位子を用いた希土類-BINOL触媒系で、反応性の低いα,β-不飽和エステルに対する触媒的不斉エポキシ化反応を進行させる反応の開発に着手した。中心金属及び添加剤等を詳細に条件検討した結果、β-アルキル置換のα,β-不飽和エステルに対し、高い立体選択性及び収率で光学活性エポキシドを与える系を見出した。 この成果は、Chemistry-An Asian Joumal(2007,2,257)に報告した。 今年度の後半は立体的に柔軟な性質を有するビフェニルジオール型配位子を希土類-アルカリメタル複合金属錯体に組み込んだ触媒を用いることで、これまで困難であった触媒的不斉反応の開発に着手することにした。 様々な検討を行った結果、ビフェニルジオール型配位子を組み込んだ触媒系はこれまでに報告のなかったα,β-不飽和ケトンに対するコーリー-チャイコフスキーシクロプロパン化反応に有効な触媒系であることを見出した。また、BINOL配位子を用いた触媒系では全く不斉が誘起されず、ビフェニルジオール型配位子を用いた際にのみ不斉が誘起されるという点は、ビフェニルジオール型配位子を用いることの大きなメリットであると考えている。 今後は本触媒系をさらに最適化し、基質一般的なα,β-不飽和ケトンに対する触媒的シクロプロパン化反応へと発展させ、また、反応性の低いα,β-不飽和エステル及びアミド類にも適用したいと考えている。
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Research Products
(1 results)