2006 Fiscal Year Annual Research Report
中性配位型有機触媒を用いる効率的有機合成反応の開発
Project/Area Number |
06J11073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小西 英之 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アミノメチル化反応 / 古典的Mannich反応 / 白金錯体 / β-ケトエステル / アンモニア / ホルムアルデヒド |
Research Abstract |
筆者は本研究において、中性配位型有機触媒(NCO)を用いる効率的な反応系の構築を目的とし、すでに開発した反応におけるNCO当量の低減化ならびに新規反応の探索を行ったが、残念ながら顕著な進展は見られなかった。しかし、筆者は活性水素化合物のアミノメチル化反応の開発を行い、有用な知見を得ることができた。 アンモニアとホルムアルデヒドを用いるカルボニル化合物のアミノメチル化反応、すなわち古典的Mannich反応は、第1級β-アミノカルボニル化合物が直接的に得られるため、有機反応化学的、合成化学的にも興味の持たれる反応である。しかし、生成物の脱アミノ化や、生成物に含まれる第1級アミン部位での過剰反応が問題となり、これまでの報告例は非常に少ない。このような背景のもとで検討を行った結果、β-ケトエステルおよびβ-ケトアミドのアミノメチル化反応において、白金ビスホスフィン錯体が非常に有効な触媒となりうることを見出し、過剰反応を抑えつつ目的物を高収率で得ることに成功した。本反応において、目的物とホルムアルデヒドの縮合により生じるイミンや、ホルムアルデヒドが共存しているにも関わらず、白金触媒がホルムイミンのみを選択的に活性化している点は特筆に値する。また、本反応は可逆的であり、種々の検討の結果、アンモニア源として気体状アンモニアを、ホルムアルデヒド源として固体のパラホルムアルデヒドを用いることにより、逆反応を抑制できることも見出した。本反応によって得られる目的物は、N上が無置換の塩酸塩として単離可能であり、所望の置換基をN原子上に導入できるため、有用な合成中間体となりうる。 現在、適用可能な基質の拡大ならびにエナンチオ選択的アミノメチル化反応を検討している。また、本研究で得られた知見をさらに発展させ、アルデヒドとアンモニアの縮合により生じるアンモニアイミンを用いる新規有機合成反応の開発を計画している。
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