2006 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポーター遺伝子の組織特異的発現制御機構の解析
Project/Area Number |
06J11081
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊地 良太 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | トランスポーター / 転写制御 / Hepatocyte Nuclear Factor 1 / エピジェネティクス / DNAメチル化 |
Research Abstract |
Human Organic Anion Transponer 3(hOAr3/SLC22A8)は腎臓近位尿細管に特異的に発現し、様々な有機アニオン化合物の尿中排泄に重要な役割を果たしている。hOAr3の組織特異的発現の制御メカニズムを明らかにするため、hOAr3のプロモーター領域を解析した。hOAr3のminimal promoterは転写開始点上流約300bpの領域に位置することが分かった。その領域には、TArAmotifおよびHepatocyte Nulcear Factor 1(HNF1)motifが存在し、これらはげっ歯類のOat3遺伝子においても保存されていた。Luciferase assayにおいて、hOAr3のプロモーター活性はHNF1αおよびHNF1βの共発現により顕著に上昇した。HNF1 motifに変異を導入することにより、HNFIα/βによる転写活性化は低下した。ゲルシフトアッセイにより、hOAr3プロモーターにはHNF1α/HNF1α homodimerおよびHNF1α/HNF1β heterodimerが結合することが示された。また、hoAr3のプロモーター活性はDNAメチル化により抑制された。さらに、HNF1αおよびHNF1βを内因性に欠くHEK293細胞にHNF1α単独あるいはHNF1αとHNF1βの両者を強制発現させた状態でDNAを脱メチル化することにより、hOAr3の発現が新たに活性化された。この結果は、hOAr3の発現にはHNF1α/HNF1α homodimeあるいはHNF1α/HNF1β heterodimerとDNA脱メチル化の協奏作用が必要であることを示唆する。以上の結果より、ジェネティックな因子(HNF1αおよびHNF1β)とエピジェネティックな因子(DNAメチル化)が協調することによりhOAr3の組織特異的発現を制御していることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)