2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胆管側膜に発現するトランスポーターの有機アニオン系化合物に対する寄与率の検討
Project/Area Number |
06J11094
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松島 総一郎 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 寄与率 / トランスポーター / フェキソフェナジン / 胆管側膜 / 血管側膜 / MRP / ノックアウトマウス / BSEP |
Research Abstract |
肝臓中から胆管側膜を介して胆汁中に排出される過程は、肝臓における異物解毒の最終関門として重要である。容易に膜透過できない化合物については、トランスポーター(主にMRP2、MDR1、BCRP)が介在し、それらの化合物の胆汁排泄に重要な役割を果たしている。これらのトランスポーターの基質認識性及び胆汁排泄に対する寄与は、主に物理化学的な性質によって分けられていると考えられてきたが、近年の研究から多くの例外が見つかり、一概に区別されることは難しい事が示唆されてきた。 本研究で、寄与率を求める際に用いたモデル化合物である抗ヒスタミンのフェキソフェナジンは、両性イオン化合物であるが、少なくともラットMrp2、マウスMdr1、マウスBcrpによって胆汁排泄されない事がノックアウトマウスを用いた検討から明らかになっている。本研究によって、フェキソフェナジンの胆汁排泄にマウスMrp2によって一部胆汁排泄に寄与すること、及びBsepが候補トランスポーターになる事が明らかになった。また血管側膜のMrp3が血管側膜の排出に重要な役割を果たす事が明らかになった。 従って、従来、有機アニオンの輸送に重要であると考えられていたMRP2、MDR1、BCRPに加え、BSEPも重要なトランスポーターの候補となり、さらに血管側膜の排出トランスポーターも含めて、肝臓全体の寄与率を決める重要性が示唆された。当教室では、ラットにおいてSandwich cultureの手法を確立し、発現ベシクルなどを用いて発見された選択的阻害剤を用いて標準化合物の寄与率を決定する事を確率している事から、今後は、ヒトsandwich culture system用いて寄与率を算定する予定である。
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