2006 Fiscal Year Annual Research Report
二次元極小角X線散乱法を用いた延伸ゴム中のフィラー凝集構造の解明
Project/Area Number |
06J11126
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
篠原 佑也 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 極小角X線散乱 / フィラー充填ゴム / X線光子相関法 / ゴム補強効果 |
Research Abstract |
本研究ではSPring-8において二次元極小角X線散乱法を用いてゴム中でのフィラー凝集構造を解明し、フィラーがゴムの補強効果に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。本年度は当初目的の通りに、1.極小角・小角X線散乱の高精度化、2.時分割極小角X線散乱実験によるゴム大延伸時のフィラー凝集構造変形過程の観察、3.時分割広角X線散乱実験によるゴム配向の測定とフィラー凝集構造変形過程との対応、4.X線光子相関法によるゴム中でのフィラーダイナミクスの観察を行った。極小角・小角X線散乱の高精度化に関しては、光学系を最適化して小角分解能の向上とビーム広がりによるsmearingを解消するとともに、検出器直前に減衰板を設置することで検出系の実効的なダイナミックレンジを向上し、実空間スケールで1nmから5μmに及ぶ広範囲の2次元散乱データを精度良く時分割測定することが可能になった。シリカ充填ゴムを大延伸した系にこのシステムを応用し、破壊に至る大延伸下でシリカ凝集構造が段階を踏んで変形・破壊している様子が観察された。これらの各段階と系の弾性率変化とが関連していることも確認された。また、広角X線散乱実験から各段階におけるゴム配向に関する情報を取得した。これらの結果を用いて検討を重ねることで、フィラー充填によるゴム弾性率向上への寄与が明らかになると考えられる。また、極小角・小角散乱実験に用いた試料に対してX線光子相関実験を行い、極小角・小角X線散乱実験から判明している凝集構造に対応してゴム中でのフィラーダイナミクスが変化していることが示唆された。 時分割極小角・小角X線散乱実験とX線光子相関実験の両方で多量のデータ処理が必要であることから、大容量のHDDを購入し、またデータ処理用のプログラムを書くことで、次年度以降の大量のデータ処理に向けた環境を整えた。
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Research Products
(4 results)