2006 Fiscal Year Annual Research Report
大脳新皮質層形成におけるPDK1-Akt経路の機能解析
Project/Area Number |
06J11169
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 靖浩 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ニューロン移動 / 大脳新皮質 / PDK1-Akt経路 / CDK阻害分子 |
Research Abstract |
発生期の哺乳類大脳新皮質において、未分化な細胞から分化したニューロンは生まれた部位から非常に長い距離を移動して目的地に到達することにより、緻密な層構造を形成する。申請者の前年度までの研究により、PDK1-Akt経路がマウス大脳新皮質においてニューロンの移動を制御し、それに伴った大脳新皮質における層構造形成に重要な役割を果たすことが示唆されていた。しかし、PDK1の下流で活性化するセリンスレオニンキナーゼAktがどのような分子を制御することによりニューロン移動を制御するかは明らかになっていなかった。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)の活性を阻害することにより細胞周期の進行を負に制御するCDK阻害分子p27は繊維芽細胞の細胞運動も制御することが近年報告された。また、p27はAktによるリン酸化を受ける可能性が示唆されていたので、Aktはp27をリン酸化することによりニューロン移動を制御するのではないかと考えた。しかしながら、p27がニューロンの移動に重要であるかは明らかになっていなかった。そこで、p27のニューロン移動における役割を検討した。子宮内エレクトロポレーション法などの手法を用いて解析を行ったところ、p27がニューロン移動に重要な役割を果たすことが明らかになった。更に、p27と同じCDK阻害分子ファミリーに属し、p27と相同性が比較的高いp57もニューロン移動に重要な役割を果たすことが明らかになった。本研究より、CDK阻害分子p27とp57が大脳新皮質のニューロン移動に重要な役割を果たすことが明らかになった。発生期の大脳新皮質において未分化な細胞がニューロンに分化するとニューロン移動を開始するとともに細胞周期が停止する。p27とp57はニューロン分化と細胞周期停止、ニューロン移動という3つの現象が協調的に起きる上で重要な分子であることが示唆された
|
Research Products
(1 results)