2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経ペプチドによる、前胸腺を介した昆虫の脱皮・変態統御機構の解明
Project/Area Number |
06J11172
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山中 直岐 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 昆虫 / エクジソン / 前胸腺 / カイコ / 神経ペプチド / 受容体 |
Research Abstract |
研究計画に沿って、平成18年度はカイコ前胸腺活性制御ペプチドおよびその受容体の網羅的同定に取り組んだ。 先ずはカイコゲノム情報からのGタンパク質共役型神経ペプチド受容体(神経ペプチドGPCR)候補遺伝子の網羅的同定を行い、既に知られていた8種類の神経ペプチドGPCRに加えて、約40種類の新規神経ペプチドGPCR候補遺伝子を同定することに成功した。また、同定した遺伝子の組織別発現解析を行い、前胸腺に発現する2種類の新規受容体候補遺伝子を発見した。 一方、ペプチドリガンド側からのアプローチとして、ゲノム情報に基づいたペプチドリガンドの同定を進めると共に、Direct TOF-MSを用いて、前胸腺に投射する神経に存在する新規のペプチドを同定した。現在は、これらのペプチドと上記前胸腺発現受容体との対応付けを進めることで、神経ペプチドによる新たな前胸腺活性制御機構を明らかにしようとしている。 さらに、新規神経ペプチドGPCR候補遺伝子の組織別発現解析の過程で、アラタ体と呼ばれるホルモン腺に強く発現する受容体候補遺伝子の同定にも成功している。アラタ体で産生される幼若ホルモンは、前胸腺で産生されるエクジソンと並んで昆虫の脱皮・変態を規定する極めて重要なホルモンであることから、現在アラタ体発現受容体のペプチドリガンドを同定し、その幼若ホルモン合成制御活性を解析している。 このように、これまでの研究は予想以上の成果を伴って順調に進展している。今後も研究計画に沿って前胸腺活性制御ペプチドの機能解析を進めると共に、幼若ホルモン合成制御機構の解析も同時に進めることで、より広い視点から神経ペプチドによる昆虫の脱皮・変態統御機構を解析していけるものと考えている。
|
Research Products
(1 results)