Research Abstract |
本研究は,データベースシステムの管理容易要求及び常時運用ニーズの増大を背景に,システム状態のリアルタイム監視機構,及び,そこから得られる情報を統合して適切な状況判断に基づく自己修復・動的環境適合を行う自立管理機構の構築を目的とする. 上記の目的に基き、自己修復機構にかんしては、データベース構造劣化の監視機構の実装を,されに発展させた.巨大なデータベースの監視においては,データサイズに比例して可視化のレスポンスが遅くなるという問題があったが,集約された構造劣化情報を保持する手法,およびそれを差分適用によってオンラインメンテナンスする手法を構造した.また,閾値による構造劣化領域の同定手法を構築し,再編成を行うべき領域の示唆を行うことが可能になった.これらの機能をオープンソースデータベースソフトウェアMySQLにおけるプロトタイプ実装に反映させた.これまでの実験および考察の結果から,効率的な再編なるスケジューラを実現するために,データ領域の各部分における構造劣化を起因とする性能への影響を順位付けする必要があることが分かった.今後,順位付手法の構築および評価を行い,論文化する予定である.動的環境適合機構に関しては,本研究で得られた構造劣化の進行を抑える,すなわち,データ追加時のストレージ空き領域選択戦略(アロケーション)戦略の効率化について検討してきた.調査および考察の結果,構造劣化のより一般的なモデルを構築し,それに基づいたアロケーション戦略が必要であるとの認識に至った.今後,構造劣化とアロケーション戦略の関係について明らかにし,新た手法の構築,評価および論文化を行う予定である. 研究成果として,本年度は日本語Lettersに一件,研究会に一件の発表を行った.また,国際ワークショップに一件,国際会議ポスターに一件の発表を行った.さらに,また,以上の成果をまとめ,英語ジャーナルに投稿した.2008年4月現在査読中である.
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