2007 Fiscal Year Annual Research Report
国際人権法と国際刑事法における普遍主義についての再考察
Project/Area Number |
06J11214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 由梨佳 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 国際刑事法 / 国際経済犯罪 / 国際人権法 / 国際刑事裁判所 / 普遍主義 |
Research Abstract |
本年度は,博士課程の2年目であるが,前年度に引き続き順調に研究を進めることができた.本研究の主題である「普遍主義」がより現実的に要請されるのが,国際経済犯罪分野である.国際経済犯罪は,テロ犯罪と密接に関連しており,金融市場の適正化を図る上でもその規制が必要不可欠である.言い換えれば,実務上の要請が非常に強い分野である.しかし他方で十分な研究の蓄積はないという状況にある.そこで,本研究の研究計画を発展させる形で,国際経済犯罪の典型例であるマネーロンダリング犯罪に関する先行研究をレビューし,そのレビュー論文を執筆した.そこでは,伝統的な国際刑事法観であった領域性原理を越えて,新たに機能的な国際法が形成されているという傾向を,著名な国際刑事法学者がどのように把握しているかについて,論点を整理しながらまとめることができた.さらに,研究計画書に記載したとおり,国際法学の隣接分野である法社会学や法哲学についての勉強も徹底的に進めることができた.法社会学については,とりわけ東京大学社会科学研究所の佐藤岩夫教授のゼミに参加し,自らの研究関心に照らし合わせて関連文献を講読することができた.また法哲学については,国際法を専攻する若手研究者のリーディンググループに参加し,隔週で関連文献を講読した(コスケニエミ等の批判法学学者の他,ローターパクト,ブライアリー等による国際法分野の重要な著作を改めて読み直す機会となった).リーディンググループでの議論は単なる文献講読に留まらず,自らの研究を振り返る格好の機会となった.これらの研究を行う傍らで,国際刑事裁判所における手続について詳細な研究をなした著作について書評を執筆した.本著作は実体刑事法に比較して軽視されてきた手続法について,研究者の注意を喚起するものであり,新たに国際刑事裁判所規程を批准した日本にとっても有意義な研究であると考える.
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Research Products
(2 results)