2006 Fiscal Year Annual Research Report
レーガン政権期の政治過程の研究:86年税制改革を巡る大統領と議会の攻防を中心に
Project/Area Number |
06J11216
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅川 健 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アメリカ / 大統領 / 議会 / 政策過程 |
Research Abstract |
本年度の研究を始めるにあたり、修士論文を出発点とした。私は、修士論文において大統領による国民への争点のアピールにも焦点をあてていたが、これは従来の大統領研究においてはその役割が明確にされていなかった。 近年までのアメリカの大統領研究は、大統領と議会の関係を立法過程という領域で主に分析してきたが、そのときの分析の視野は、あくまでも政治エリートである大統領と議員との関係に絞られていた。そのために、ワシントンの政治エリートの外側への大統領の影響力、大統領のアピールを受け取った人々のワシントンへの影響力については分析が進んでいなかった。大統領研究を整理しなおし、大統領の権力についての分析の視野を広げることで、これまでの研究を乗り越える余地が残されていることを発見した。 また、アメリカの大統領の権力を理解するにあたり、議会の内部がどのように動いているのかを理解することが必須であると考え、議会研究の整理も行った。近年の議会研究では、議会内部だけでなく大統領権力という要素を入れずには立法過程を記述できないという考え方に基づく、精緻化された理論が主流となっており、議会研究をまとめなおすことで、議会権力の反射としての大統領の権力という見方や、理論的なアプローチについて考えが深まった。 これらの整理を基礎として、修士論文をリファインにとりかかった。ここでは、ワシントンの政治エリートの頭を飛び越えて、直接にアメリカ国民に税制改革を訴え、その訴えがどのように議会内部の議論へ影響を及ぼしているかという、従来のアメリカ大統領研究では扱われていない問題を設定し、議会資料、伝記、新聞を資料として分析した。 最終的に、この成果を「レーガン大統領のリーダーシップの研究:1986年税制改革法を事例として」という論文として、『本郷法政紀要』(第15号、2006年)において発表した。
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Research Products
(1 results)