2007 Fiscal Year Annual Research Report
レーガン政権期の政治過程の研究:86年税制改革を巡る大統領と議会の攻防を中心に
Project/Area Number |
06J11216
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅川 健 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アメリカ / 大統領 / 議会 |
Research Abstract |
私は、修士論文において大統領による国民への争点のアピールにも焦点をあてていたが、これは従来の大統領研究においてはその役割が明確にされていなかった。 近年までのアメリカの大統領研究は、大統領と議会の関係を立法過程という領域で主に分析してきたが、そのときの分析の視野は、あくまでも政治エリートである大統領と議員との関係に絞られていた。そのために、ワシントンの政治エリートの外側への大統領の影響力、大統領のアピールを受け取った人々のワシントンへの影響力については分析が進んでいなかった。大統領研究を整理しなおし、大統領の権力についての分析の視野を広げることで、これまでの研究を乗り越える余地が残されていることを発見した。 また、アメリカの大統領の権力を理解するにあたり、議会の内部がどのように動いているのかを理解することが必須であると考え、議会研究の整理も行った。近年の議会研究では、議会内部だけでなく大統領権力という要素を入れずには立法過程を記述できないという考え方に基づく、精緻化された理論が主流となっており、議会研究をまとめなおすことで、議会権力の反射としての大統領の権力という見方や、理論的なアプローチについて考えが深まった。 私の研究テーマは、大統領がいかに議会での政策決定に影響を与えるかということであるが、大統領と議会の関係を取り上げる研究は、議会研究と合流しつつある。それらのモデルの中では、議会と大統領が主なリサーチの対象である。 しかし、現実のアメリカ政治では、メディアと世論もやはり重要な役割を果たしていると考えるべきである。そこで、本年度は、従来の学説では十分に扱われていない要素、すなわちメディアと世論とを、大統領と議会の間の関係に加えたモデルを構築した。 また、そのモデルを検証するためのケースの選択とデータの収集を行った。 特に、3月にはカリフォルニア州シミ・ヴァレーにある、ロナルド・レーガン大統領図書館に赴き、資料調査を行った。
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