2007 Fiscal Year Annual Research Report
MEGを用いたヒト聴皮質における音色認知過程の神経メカニズムの研究
Project/Area Number |
06J11222
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水落 智美 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 脳磁図 / 聴覚誘発磁場 / 音色 |
Research Abstract |
話し言葉や楽器の識別の重要な指標となるスペクトル包絡の違いが、音色認知の初期過程にどのように反映されるかを調ぺるために、24種類の複合音を無視条件下で両耳提示し誘発されるNlmを計測した。刺激音は2つの基本周波数(FO)と、3つの音色カテゴリー(vocal,instrumental,linear)のスペクトル包絡以外は音響要素を全て一致させた。先行研究[Mizuochi, et. al. 2005]では解析対象が側頭部の44チャネルと広範囲なため得られたNlm波形が曖昧であったが、各被験者において最大値を記録したチャネルを網羅する6チャネルに解析対象を狭める事でNlm波形のpeak潜時に加えその前後の極小値を示すonset及びoffset潜時の判読を試みた。しかしonset潜時は被験者8名中3名が判読不可能であったため解析対象から除外した。先行研究同様、vocal音に対してはpeak潜時でFO非依存性が、linear音に対してはpeak潜時でFO依存性が認められ、offset潜時もpeak潜時と同じ傾向を示した。一方、instrumental音に対するpeak潜時は、左半球ではvocal音と同じFO非依存性を、右半球ではlinear音と同じFO依存性を認めるという両者の音色の中間の動態を示し、offset潜時はvocal音と同じFO非依存性が認められた。peakからoffsetまでの時間幅は、いずれの音色に対してもFOによる変動は見られなかったが、linear音に対する時間幅は他の2種の音色に対するものより有為に短かった。以上より、N1m潜時にFOの与える影響はvocal音、instrumental音、linear音の順で大きくなる。またpeakからoffsetまでの時間幅はFOよりもスペクトル包絡の影響を受け、formant処理に要する時間が反映していると考えられる。
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Research Products
(8 results)