2006 Fiscal Year Annual Research Report
RNAiを用いた疾患対立遺伝子特異的発現抑制法の確立とその応用
Project/Area Number |
06J11231
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 悠亮 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | RNAi / アリル特異的RNAi / レポーターアリル / APP / アミロイドβ / fork型siRNA / sh型RNAベクター |
Research Abstract |
1.アリル特異的なRNAi活性を簡便に評価するシステムの構築 これまでに、2種類のレポーター遺伝子を対立遺伝子に見立てたレポーターアリルを構築し、siRNAが示すアリル特異的RNAi活性の、簡便なスクリーニングシステムの確立を行ってきた。今年度は、家族性アルツハイマー病の原因遺伝子である、アミロイド前駆タンパク質(APP)遺伝子の正常型アリルと、変異アリルをモデルとして、アリル特異的なRNAi活性を誘導するsiRNAを見出し、さらに評価したsiRNAが完全長のAPP転写産物に対しても、アリル特異的なRNAi活性をウエスタンブロット法により確認した。また、正常型と変異型の2種類のAPPのヘテロ転写産物が存在する細胞内において、評価したsiRNAは、APPを発現させたままで、おもにAPPの変異型から産生されるアミロイドβを減少させることができた。これらの結果から、本研究で構築したスクリーニングシステムは、APP変異型アリルに対して、アリル特異性を示すsiRNAを評価し、さらにそれらのsiRNAを用いたアリル特異的RNAi法が、疾患原因である変異型のタンパク質の特異的抑制効果を誘導し、siRNAの疾患治療への可能性を示唆することができた。これらの結果は、国際誌(Journal of RNAi and Gene Silencing)に発表した。 2.アリル特異的発現抑制法の確立 効果的なアリル特異的なRNAi活性を誘導させるために、構築したスクリーニングシステムを用いて、アリル特異的なRNAi活性を促進するsiRNAの改良法の検討を行い、当研究室により報告した、より強いRNAi活性を誘導するsiRNAのfork型の改良が、アリル特異的なRNAi活性を促進させることを見出した。また、short hairpin型のRNAによるアリル特異的RNAi活性を評価すると、siRNAとshRNA型ベクターでは、アリル特異的なRNAi活性が異なる可能性を見出した。このことは、shRNA型ベクターからは均一なsiRNAではなく、さまざまなsiRNAが産生されていることが考えられる。現在、アリル特異性を示すshRNA型ベクターの改良法の探索を行っている。
|
Research Products
(1 results)