2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規細胞質型ホスホリパーゼA2(cPLA2δ)の酵素学的性質と生体内機能の解明
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06J11233
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菱川 大介 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生体膜 / グリセロリン脂質 / 脂肪酸 / ホスホリパーゼ / アシル基転移酵素 / リゾリン脂質 / 肺サーファクタント / II型肺胞上皮細胞 |
Research Abstract |
生体膜を構成するグリセロリン脂質の脂肪酸は、ホスホリパーゼとアシル基転移酵素によりダイナミックにリモデリングされる事が知られているが、その生物学的意義や分子機構は多くの不明な点を残している。特に、リゾリン脂質アシル基転移酵素は多くが未同定であり、その同定は生体膜のダイナミクスを解明する上で必須である。昨年、本研究室では、2つの新規リゾリン脂質アシル基転移酵素(LPCAT1とLPCAT2)を同定した。私は以下の実験を行った。 1、マウスLPCAT1遺伝子は肺に多く、主に、II型肺胞上皮細胞に発現していた。II型肺胞上皮細胞は、呼吸に必須な肺サーファクタント合成を行う細胞であり、LPCAT1の酵素学的性質と合わせて、肺サーファクタント合成酵素である可能性が示唆された。2、さらに詳細な解析の結果、LPCAT1遺伝子の発現は肺サーファクタント合成の責任細胞であるII型肺胞上皮細胞に限局しており、その酵素学的性質と発現分布から、肺サーファクタント脂質合成酵素である可能性が示唆された。また、これらの結果を、日本界面医学会において口頭発表した。現在、LPCAT1による肺サーファクタント脂質合成に関する詳細な解析を、siRNAを用いて行っている。 2、LPCAT2遺伝子は、マクロファージにおいて、最も発現が高いことが分かった。また、マクロファージでのLPCAT2の発現は、16時間のリポポリサッカライド(LPS)刺激により上昇し、その発現上昇は、合成ステロイドである、デキサメタゾンによって抑制される事が分かった。 また、ゲノムデータベースを用いて、生体膜のリモデリングに関与する新規酵素の同定も同時に試みている。
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