2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規細胞質型ホスホリパーゼA2(cPLA2δ)の酵素学的性質と生体内機能の解明
Project/Area Number |
06J11233
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菱川 大介 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生体膜 / グリセロリン脂質 / 脂肪酸 / 細胞質型ホスホリパーゼ / アシル基転移酵素 / リゾリン脂質 / 多価不飽和脂肪酸 / 生体膜リモデリング |
Research Abstract |
生体膜を構成するグリセロリン脂質の脂肪酸は、ホスホリパーゼとアシル基転移酵素によりダイナミックにリモデリングされる事が知られているが、その生物学的意義や分子機構は多くの不明な点を残している。特に、リゾリン脂質アシル基転移酵素は多くが未同定であり、その同定は生体膜のダイナミクスを解明する上で必須である。そこで我々はまず、基質未同定の酵素を多く含むタンパク質ファミリー、Membrane bound O-acyltransferase family(MBOAT family)に注目し、そのリゾリン脂質アシル基転移酵素活性を解析した。解析の結果、MBOAT1,2,5の3種類の酵素が、リゾリン脂質アシル基転移酵素活性を持つことが分かった。また、その基質特異性はそれぞれ異なっており、Mboat1はリゾPE(LPE)、リゾPS(LPS)にオレイン酸、Mboat2はリゾPC(LPC)、LPEにオレイン酸を、また、Mboat5はLPC、LPE、LPSにアラキドン酸を始めとした多価不飽和脂肪酸を転移する活性を示した。そこで我々は、Mboat1、Mboat2、Mboat5をそれぞれの活性から、LPE acyltransferase 1(LPEATI),LPC acyltransferase 4(LPCAT4),LPCAT3と名付けた。LPCAT3-siRNA導入は細胞内在性のLPCAT,LPEAT,LPSAT活性を減少させた。さらにLPcAT3-siRNA導入細胞は、多価不飽和脂肪酸を含むリン脂質の量が減少傾向にあることが分かった。また、定量的RT-PCR解析の結果、LPCAT3,LPCAT4,LPEAT1mRNA発現の組織分布はそれぞれ異なっており、これらの酵素の発現量や活性が、組織、細胞に特有の膜リン脂質産生に重要であると考えられる。
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