2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヘッジホッグシグナル伝達におけるFusedの機能解析
Project/Area Number |
06J11236
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木瀬 孔明 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | hedgehog / Sufu / GSK3β / Gli3 / リン酸化 / プロセシング |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、ヘッジホッグシグナル伝達の負の制御因子Sufuが、キナーゼGSK3βを転写因子Gli3にリクルートすることによって、Gli3のプロセシング(転写抑制因子の生成)に寄与する可能性について検討した。今回、Sufuのノックアウトマウス由来の繊維芽細胞におけるGli3のプロセシングの有無を調べたところ、Sufuのノックダウンと同様に(昨年度)、プロセシングが阻害されており、またレトロウイルスを用いてSufuの発現を戻すと、プロセシングが再び観察されることがわかった。この結果はGli3プロセシングにおけるSufuの重要性を強く示唆している。またSufuのΔGSK変異体(Gli3と結合するが、GSK3βとは結合しない変異体)を用いて、GSK3βによるGli3のリン酸化における、Sufuの効果を調べたところ、野生型Sufuで見られていたリン酸化促進効果がΔGSK変異体では見られないことがin vitroおよび細胞内で観察された。これらの結果および、SufuのΔGSK変異体ではSufuノックダウンによるGli3プロセシングの阻害が救済されないという結果(昨年度)は、冒頭の仮説を強く支持するものであり、本研究成果はSufuの機能解析に大きく貢献することができたと考えられる。 ショウジョウバエにおいてはキネシン用蛋白質Cos2が転写因子Ciのプロセシングに必要なキナーゼをリクルートし、Sufuはほとんど機能していないと考えられている。一方、哺乳類ではCos2のホモログはヘッジホッグシグナルに寄与していないと考えられている。興味深いことに、哺乳類SufuのGSK3β結合部位のアミノ酸配列はショウジョウバエSufuでは保存されていない。本研究によって、哺乳類Sufuは進化の過程でCos2の機能を相補するようになったのではないか、ということも推測される。
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Research Products
(1 results)