2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヘッジホッグシグナル伝達におけるFusedの機能解析
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06J11236
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木瀬 孔明 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヘッジホッグ / Fused |
Research Abstract |
はじめに、Fusedの安定発現細胞株を樹立し、Fusedの最も主要な結合タンパク質としてCdc37/Hsp90を同定した。さらに、Fusedに対する抗体を作成し、内在性のFusedとCdc37との結合を免疫沈降法により確認した。Cdc37あるいはHsp90の阻害剤を用いたところ、Cdc37/Hsp90がFusedの存在量が減少することがわかり、Cdc37/Hsp90がFusedの安定化に非常に重要な働きを持つことを明らかにした。 Fusedはショウジョウバエにおいてhedgehogシグナルを正に制御することが知られているが、ほ乳類では機能がよくわかっていない。そこで、Fusedの転写因子Gliに対する機能をルシフェラーゼアッセイによって調べた。すると、Fusedの共発現によってGli1,Gli2のレポーター活性が増強されることがわかった。このときGli1,Gli2の存在量が、それぞれ単独で発現させた時に比べて増加することもわかった。また、このGli1,2に対するFusedの効果は、Hsp90の阻害剤geldanamycinによるFusedの分解で打ち消されることもわかった。これらの結果から、FusedにGli1,Gli2を安定化する働きがあることが示唆された。 hedgehogシグナルの亢進はヒト癌化と関連していることが報告されている。FusedがGliを正に制御することが先の実験により示唆されたため、癌細胞に対するFusedの機能阻害の効果を次に調べた。Hedgehogシグナルが元進していると報告されている、ヒト前立腺癌の細胞株PC3をgeldanamycinで処理すると、PC3細胞の増殖が抑えられることがBrdUの取り込み実験によりわかった。さらに、Gli1を安定に発現するPC3細胞株ではgeldanamycinの効果が弱まることもわかった。これらの結果は、Fusedが抗癌剤開発の新たな分子標的となりうる事を示唆している。そして、以上の研究成果を論文に発表した(Kise et al.,2006)。
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Research Products
(2 results)