2007 Fiscal Year Annual Research Report
海馬CA3領域特異的NMDA受容体欠損マウスでの痙攣発作亢進の原因解明
Project/Area Number |
06J11247
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福島 章顕 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | NMDA受容体 / 海馬CA3領域 / 後過分極電流 / リカレントネットワーク |
Research Abstract |
本年度はNMDA受容体を欠損したCA3錐体細胞にどのような変化が起きて、神経ネットワークの興奮性が増大するのかを明らかにすることを目的とし実験をした。まず、神経細胞の興奮性を検討するため、海馬スライスでCA3錐体細胞からパッチクランプを行い、resting membrane potential、input resistance、membrane capacitanceの3つを計測した。対照群と変異体マウスとの間で比較したところ有意な変化は認められなかったことから、神経細胞自体が興奮しやすくなったわけではないことが明らかになった。 次に、興奮性シナプス電流・抑制性シナプス電流を解析した。グルタミン酸作動性興奮性シナプス電流はNMDA受容体以外にもAMPA受容体、およびカイニン酸受容体で担われる。また抑制性シナプス電流はGABAで担われる。そこで、これらの受容体や合成酵素の発現量をまず、In situ hybridization法を用いて比較したが、有意な変化は認められなかった。実際に電気生理学的にAMPA受容体作動性興奮性シナプス電流とGABA作動性抑制性シナプス電流の相対的な比を計測したが、興奮抑制のバランスに変化は認められなかった。一方で、抑制性伝達は上記以外にも後過分極電流で担われている。CA3錐体細胞における後過分極電流を計測したところ、変異体マウスで有意に減少していることが明らかになった。後過分極電流がCa依存性、K依存性の両方を示したことからCa依存性K電流であることを検証した。 以上からNMDA受容体を欠損すると、NMDA受容体依存的な後過分極電流が減少することが明らかになった。
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Research Products
(1 results)