2006 Fiscal Year Annual Research Report
M細胞特異的遺伝子改変マウスの作製および解析による粘膜抗原取り込み機構の解明
Project/Area Number |
06J11256
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 義幸 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 腸管 / パイエル板 / M細胞 / 遺伝子改変マウス / 抗原取り込み / クローニング / MARCKS-like protein / UEA-1 |
Research Abstract |
私は「M細胞特異的遺伝子改変マウスの作製および解析による粘膜抗原取り込み機構の解明」という研究課題のもとに初年度一年間研究に取り組んできた。初年度は予定通り主にMARCKS-like proteinコンディショナルノックアウトマウスを作製するための、ターゲティングベクター作製を中心に仕事を進めてきた。最初に作製したターゲティングベクターはクローニングが困難な塩基配列がMARCKS-like protein遺伝子中に存在したことや、Neo遺伝子にFRT配列を組み込む事が困難だった事から、新たにTK-FRTNeo-loxPカセットにMARCKS-like proteinの遺伝子を組み込む方法に変更し、現在も遺伝子のクローニングおよびベクターへの組み込みを続けている。大部分の遺伝子断片のクローニングは既に完了しており、現在残りの遺伝子断片のクローニングおよびそれら遺伝子断片のベクターへの挿入を行っている。 一方、我々はMARCKS-like proteinのポリクローナル抗体の作製に成功し、その抗体を用いて腸管におけるMARCKS-like proteinの発現パターンを精査した。特に、腸管十二指腸部分における粘膜免疫誘導組織であるパイエル板と免疫実効組識である絨毛におけるMARCKS-like proteinの発現を調べた。その結果、十二指腸におけるパイエル板上では、M細胞マーカーであるUEA-1と抗MARCKS-like protein抗体の染色パターンが一致し、MARCKS-like proteinがM細胞に特異的に発現する遺伝子である事が明らかとなった。一方、絨毛部位においては、絨毛M細胞や分泌細胞といった細胞で一部発現が見られる以外、典型的な吸収上皮細胞では全く発現しない事が明らかとなった。未だM細胞における特異的遺伝子の存在が明らかにされていない事から、M細胞における細胞内因子の機能解析を行う上でMARCKS-like proteinは極めて有用な遺伝子であると考えられる。これらの成果を踏まえて、次年度にはコンディショナルノックアウトマウスの作製、来年度における機能解析と期待の持てる研究進行状況であると考えている。
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Research Products
(1 results)